ペンギン・ハイウェイ【解説】
おまたせ。アイスコーヒーしかなかったけどいいかな?
女将・・・
森見登美彦原作のアニメ作品といえば四畳半神話大系や夜は短し歩けよ乙女ですが、いずれも湯浅政明監督作品であり、大学生の物語であります。
どちらも村上春樹の匂いをほのかに感じさせる作品ではありましたが、今回のペンギン・ハイウェイは特に強くその色が出ていたなと思います。
それとてっきり森見登美彦のデビュー作品なのかなと思って見に行きましたが、あとで調べたら四畳半などの後に書かれた作品のようでした。
つまりペンギン・ハイウェイは森見登美彦版海辺のカフカだということだな。
どういう話かざっくり言っちゃうと、物語の中盤でアオヤマくんのお父さんが言った、「袋を裏返せば袋の中に世界が入る」という話です。
つまりまんま村上春樹です。
お姉さんの感情がそのまま世界を荒らしまくるという話ですね。
お姉さんは海の女であるため、""海""は故郷の景色を現し、ペンギンはお姉さんの元気を現しているため、過去、リフレインの象徴でもある海を壊し、ジャバウォックはネガティブな感情の発露であるためペンギンを食います。
お姉さんの深層心理である""海""が森の中にあるのとかめっちゃ村上春樹ですよね。
村上春樹作品では世界そのものが登場人物の心理になることがとても多いため、世界の真実が森や山といった深い場所に安置されていることが多いです。
そんな感じです。
川がループして町そのものが世界の果てであるという表現にてセカイ系やるよーという最終宣言になっていました。
最後にお姉さんが消えてしまったのは未来に出会うべきソウルメイトだったということでしょうか。アオヤマくんはマセガキなので少し早くお姉さんの幻に辿り着いてしまったのかもしれません。
懐かしいねー、やっぱいいねー、って感じの作品でした。
セカイ系は僕らの世代にはストライクゾーンですから。
しかしツイッターで流れてくるおっぱいだの性的消費だのって感想にはほとほと呆れます。
劇中でアオヤマくんが「おっぱいも好きですが、お姉さんへの好きはそれとは違います」って言ったんですけども。
別に内容だって村上春樹じゃなくてもハルヒ見とけばなんとなく解決できます。
テーマが一昔前だから語る必要はないって意味でのおっぱい感想なのでしょうか。
直近でソウルメイトについて調べる機会があったのでそれと照らし合わせると、たとえソウルメイトであっても試練を乗り越えなければ一緒にはなれないそうです。
その象徴としてのおっぱいだったのかなって思います。
森見登美彦特有のコミカルでいいセンスですね。